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挨拶(日野原理事長)

日野原理事長よりご挨拶

日野原重明先生

「我々は、人々のいのちに齢を加えてきたが、今の齢にいのちを加えるのもわれわれ医師の責任である」。H・Aラスク


ハーバード・A・ラスク(1901-1989)は米国の生んだリハビリテーション医学の世界的パイオニアであります。
彼はその師のモリス・ピアソルから上記の言葉を教えられたといいます。 近代医学は疾病を癒し、人間の寿命を長くしましたが、リハビリテーション医学は、患者が受けたハンディキャップを
高い技術によって、できるだけ正常化の方向に戻すことに大いに貢献しました。
 ただし、手足の機能を元通りに、または元に近く回復させることだけがリハビリテーション医学の役目ではありません。
いのちの質(クオリティ・オブ・ライフ)を高めることにより、その患者がたとえ治らない欠陥を持ち続けたとしても、患者のこころを豊かに保つことにより「いのち」を与えることが、リハビリテーション医学の真髄と考えます。
それによって、たとえ不自由な身でも生きがいが生まれることになるでしょう。
そして、その生きがいとは、患者さん自身が生きる意味を発見することに繋がることでしょう。

近代医学は、古き医学のかなえられなかったいのちの延長に大きく寄与してきましたが、一方で生き延びたいのちに、耐え難い苦しみをも与えてきました。
それは近代医学が人文科学と離れて発展したからで「いのちの質」を重視するこれからの全き医学は、生かす科学と、生きるアートを同時に取り入れつつ発達していかなければならないと思います。

がん医療も徹底的な腫瘍の消滅をめざしたものから、がんとの共存を視野に入れた方向に大きく変わってきました。
それに伴い、QOLを高めるためのリハビリテーション医療にますます期待が高まっていくものと思われます。
当財団としてはこの分野に協力することで、がん医療の向上に貢献したいと思っています。


(財)ライフ・プランニング・センター 理事長 日野原 重明