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● リンパ浮腫研修委員会

リンパ浮腫とはリンパ管やリンパ節の先天性の発育不全、または二次性の圧迫、狭窄、閉塞などによって、リンパ流の阻害と減少のために生じた浮腫のことです。がん治療後の続発性リンパ浮腫は、全リンパ浮腫患者の約80〜90%を占めています。原因となる疾患は、乳がん、子宮がんが多いため、患者の90%以上は女性です。術後に発症するリンパ浮腫の発症率は、わが国では乳がん術後で約10%、子宮がん術後で約25%と推測されており、年間1万人前後がリンパ浮腫に罹患すると推定されています。

本疾患は医療者側の認識不足もあり、適切な治療がなされず放置されると徐々に進行することが多く、浮腫の悪化で仕事や家事に支障が出たり、醜い手足を隠して生活しなければならないといった苦痛など、QOLを低下させる切実な問題です。しかし、リンパ浮腫の病態を十分に理解して発症早期から適切な生活指導・治療を行えば、それ以上の悪化を防止することができます。たとえ進行例であっても浮腫を改善させることは可能です。 最近では患者会が中心になって研究会なども開催され、インターネット、TV、新聞などのメディアで取り上げられ、リンパ浮腫治療のための患者向けの解説書もいくつか出版されるようになっていますが、我が国で現在、リンパ浮腫に対して積極的に治療を行っている医療機関は全国でもごくわずかです。

リンパ浮腫の治療を行うためには、リンパ浮腫の病態生理や診断方法、治療法に関する理解、リンパドレナージやバンデージ法の手技、治療効果の判定方法、実際の外来運営方法等、職種や立場に応じた様々な知識や技能が必要ですが、専門的にリンパ浮腫に関する研修を行っている医療機関はごく限定されています。当委員会は、リンパ浮腫の専門の方々に集まっていただき検討を重ね、リンパ浮腫に対する取り組みの標準化、研修のカリキュラムの作成、研修の実施を目指しています。


 リンパ浮腫件雄委員会における合意事項
平成23年6月改訂版
リンパ浮腫研修委員会における合意事項

1)リンパ浮腫の予防におけるリンパドレナージ、弾性ストッキング・スリーブの扱い
現在のところ「リンパドレナージと弾性ストッキング・スリーブなどの圧迫療法が予防に有用」というエビデンスはない。
乳がんや子宮がんなど婦人科がんの手術後にリンパ浮腫の予防に必要だからという理由で、リンパドレナージや弾性ストッキング・スリーブをすべての患者に指導し、施行を義務付けている施設がある。しかし、強制されている患者には大きな苦痛となるためこれはおこなうべきではない。

2)リンパ浮腫治療における日常生活指導の重要性
従来、リンパ浮腫治療には「複合的理学療法」が有用とされてきたが、これのみでは不十分であり、長時間の立ち仕事を避ける、時に患肢を挙上するなどの日常生活指導を加えることが重要である。したがって、「複合的理学療法」に日常生活指導を加えた「複合的治療」(または「複合的理学療法を中心とする保存的治療」)がリンパ浮腫に対する標準的治療である。

3)リンパ浮腫治療におけるシンプルリンパドレナージの扱い
通院治療が主体であり、用手的リンパドレナージを実施できる医療施設が少ない日本では、患者が自ら実施するシンプルリンパドレナージ(=セルフリンパドレナージ)や家族・介助者が実施するシンプルリンパドレナージが一般的に行われているのが現状である。しかし、その効果についてはエビデンスが不十分であり、意義、どのような患者・病態に必要か、などの適応や具体的内容、禁忌などを今後確立していく必要がある。

4)リンパ浮腫治療における薬物療法
現時点ではリンパ浮腫単独に対する効果的な薬剤はない。進行再発期と緩和医療期では全身浮腫に対して、その病態に応じて種々の薬剤を使用する。

5)用語の統一
本研修委員会においてリンパ浮腫治療に関する用語を統一した(これまで用いられてきた単語に併記も可
)。

一般的に用いられている用語

統一した用語

複合的理学療法、複合的治療、CDT、CDP、CPT

複合的治療 または 複合的理学療法を中心とする保存的治療

※正確には「複合的理学療法」と同一の概念ではない  (上記2参照)

徒手リンパドレナージ、用手的リンパドレナージ、リンパ誘導マッサージ、マニュアルリンパドレナージ、MLD、DLM

用手的リンパドレナージ(MLDの和訳)

セルフマッサージ、セルフリンパドレナージ、セルフドレナージ

セルフリンパドレナージ

シンプルリンパドレナージ

シンプルリンパドレナージ(SLDの和訳)

圧迫療法、圧迫

圧迫療法

弾性着衣、圧迫着衣

弾性着衣

バンデージ、弾性包帯

弾性包帯

バンデージ療法、リンパバンデージ、バンデージ、bandaging

多層包帯法(MLLBの和訳)、包帯法

圧迫下での運動、リンパエキササイズ

圧迫下での運動

間欠的空気圧迫ポンプ、空気波動マッサージ器

間欠的空気圧迫装置

間欠的空気圧迫療法、IPC

間欠的空気圧迫法(IPCの和訳)

麦穂帯、8(の)字帯、8の字巻き、タケノコ巻き

8の字帯(麦穂帯)

付記:「マッサージ」という用語は患者に誤解を招きやすいので、「ドレナージ」と表現する


リンパ浮腫の研修体制・資格制度に関する  ワーキンググループの決定事項
 
平成23年10月に
  「リンパ浮腫セルフケア指導者のための研修教育要綱」をまとめました。

  こちらをクリック リンパ浮腫研修における教育要綱
  

 
平成23年6月に
  「専門的なリンパ浮腫研修に関する教育要綱」をまとめました。
     
こちらをクリック リンパ浮腫研修における教育要綱

 
平成23年度の
  「リンパ浮腫研修プログラム」はこちら  リンパ浮腫研修プログラム


 

主催団体:厚生労働省

がんは、わが国において昭和56年より死因の第1位であり、現在では年間30万人以上の国民が亡くなっています。また、生涯のうちにがんに罹る可能性は男性の2人に1人、女性の3人に1人と推計されています。さらに、加齢により...

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実施団体:日野原理事長よりご挨拶

近代医学は疾病を癒し、人間の寿命を長くしましたが、リハビリテーション医学は、患者が受けたハンディキャップを高い技術によって、できるだけ正常化の方向に戻すことに大いに貢献しました。ただし、手足の機能を元通りに、または元に近く回復させることだけがリハビリテーション医学の役目ではありません。いのちの質(クオリティ・オブ・ライフ)を...

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実施協力:委員会代表 辻先生よりご挨拶

治癒を目指した治療からQOLを重視したケアまで、切れ目のない支援をするには、わが国のがん医療の現状は不十分であるといえます。がん患者にとっては、病としてのがんに対する不安は当然大きいでしょうが、がんの直接的影響や手術・化学療法・放射線治療などによる『身体障害に対する不安』も同じように大きいものでしょう。加えて...

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リンパ浮腫研修委員会

平成22年から「リンパ浮腫研修委員会」を開催いたしました。リンパ浮腫とはリンパ管やリンパ節の先天性の発育不全、または二次性の圧迫、狭窄、閉塞などによって、リンパ流の阻害と減少のために生じた浮腫のことです。がん治療後の続発性リンパ浮腫は、全リンパ浮腫患者の約80〜90%を占めています。原因となる疾患は...

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リンパ浮腫の研修体制・資格制度に関する
ワーキンググループ

平成22年10月に標記のワーキンググループを発足いたしました。本会は、日本におけるリンパ浮腫の研修体制、資格制度、保険制度等についてのスタンダードをまとめ、厚生労働省に提言していくことを目的にしています。
 取り組み課題として、リンパ浮腫研修カリキュラムの確立や、リンパ浮腫治療に関わる各学会や団体と共同で情報の共有や発信をしていくことなどがあります。